インボイス導入反対署名が36万人突破! 免税業者に誹謗中傷の嵐。混乱と分断を招く希代の悪法【篁五郎】
10月1日よりスタートする「インボイス制度」へ反対する声が急速に高まっている。インボイス制度を考えるフリーランスの会(通称「STOP!インボイス」)が呼びかけたオンライン署名は今月4日までに36万筆を突破した。その後も署名は増え続けている。
2021年10月からインボイス中止を訴えてきた「STOP!インボイス」は9月4日に衆議院第一議員会館に集まった署名を携え、改めてインボイス制度の中止・延期を求める緊急提言を発表。署名は財務省・国税庁・公正取引委員会に提出された。今回の記者会見には農家や建設業界、配送ドライバー、競馬業界、経理部など多彩な職種の人々の他、一般参加者も約350人参加して中止を訴えた。
◾️「混乱を招く希代の悪法はすぐに中止すべき」と提言
インボイスは、消費税を「誰が」「いくら」支払ったかを明確にし、国が漏れなく把握・徴収するための制度である。「売上にかかる消費税」から「仕入で払った消費税」を差し引きした額を、正確に記録・納税させるために各事業者(個人事業主含む)に「インボイス」という登録番号を割り振られる。この登録番号がないと事業者は仕入税額控除を受けられなくなるというものだ。今までは1000万円未満の事業者が消費税の納税を免除されていたが、登録すると納税義務が発生する。1000万円未満の事業者は取引先やお客から消費税分の価格転嫁が難しい。そのため様々な業種の事業者が廃業する恐れがあり、多くの業界が反対を表明している。インボイス反対の署名は36万1171筆にまで昇り、賛同した著名人・有識者は120名、団体は51を数えるほど大きくなった。
この日の会見でも「STOP!インボイス」の発起人である小泉なつみさんはこのように挨拶をした。
「インボイス制度が、この国らしさをかたちづくる文化と産業を破壊し、私たちに分断と増税、混乱を招く希代の悪法だからです。真っ白な紙から物語を紡ぐこと。土から農作物を生み出すこと。指定された時間ぴったりに物を運ぶこと。何もなかったところから、現場の人間の工夫、汗によって生み出された付加価値こそが“私らしさ”であり、商売の強みであり、ひいてはそれが“日本らしさ”として高く評価を受けてきた国の財産ではないでしょうか。オリジナリティの芽を摘み、煩雑で生産性のないブルシットジョブで現場のモチベーションを下げ、強い者をより強くし、弱い者をさらに弱くする税制が消費税インボイス制度です。そのような税制を国が推進することは「国家的自殺行為としか思えません」
「STOP!インボイス」は100人以上の国会議員へ陳情したという。しかしインボイスを推進する与党議員は、制度の中身を知らず「決まったことだから」と話していたそうだ。制度や法律は国会や行政の手続きで廃止できる。現職の国会議員が「決まったことだから」というのは職務怠慢としか思えない。なぜならこれまで多くの団体・業界から反対の声が上がったからだ。